しなやかさに 隠された 力強いバネ

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Eri Yamamoto

2009年にアメリカNYで誕生したペアダンス NewStyleHustle。この新ジャンルを日本に広めた牽引者こそ、山本絵理さんです。バレエダンサーとして脚光を浴びた彼女が何故新たな道を切り開いていったのでしょうか。成功と挫折、そして出会い。ひとつひとつの経験を自分の力にしていくためのヒントが、山本さんの人生に散りばめられていました。

Introduction

第6回はダンサーとしてPV出演やバックダンサーなど国内外で活躍する山本 絵理さん。優雅なダンスと柔和な印象とは違い、20代にして波乱に富んだ人生を生きる山本さんの力強さと魅力の源を紐解きます。

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photograph: Amiri Kawabe

interview&text: Kaori Hakozaki

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心の瞳

山本さんがバレエを始めたのは4歳。コンクールでスカラーシップを受け、中学生時代に二度のアメリカ留学経験をするなど、そのバレエ人生は輝かしく見えます。「実は、バレエを始めた頃は舞台袖に隠れてしまうほど立ち位置は端っこでした」発表会では上手な子ほどセンターに配置されるそうで、「本当に”下手っぴ”だったんです」と当時のことを振り返ります。そんな山本さんが急成長を見せたのは、ある先生との出会い。「月に2回だけ、新国立バレエ団の先生が教えてくれる機会がありました。その先生は包み隠さない物言いで教えてくれる方で、それが妙に腹落ちしたんです」先生の教えをみるみる吸収し上達した山本さんは、やがて発表会センターの立ち位置を獲得。「今でも印象に残っている教えが『鏡を見ても上手にならない。心の瞳で自分を見なさい』という言葉です。現在はお仕事で先生とご一緒させて頂くこともあります。私にとっての恩師です」いつ見ても背筋がすらっと伸び、動作が美しい山本さん。幼い頃に体得した『心の瞳』が、今も健在しているようです。

  • 9歳、初めてトゥシューズで出た発表会。バレリーナの第一歩。
  • 中学2年生の時の発表会。週7回のレッスンをこなすほど、バレエに夢中だったそう。練習量に裏付けされた、堂々とした表情のワンシーン。

Section.02

ピンチをチャンスに

順風満帆に見えたバレエ人生。ぼんやりと「将来はバレリーナになるんだろう」と思っていたのだとか。しかし、18歳の冬に事件が起こります。バレエの実力を認められ、1月からドイツのバレエ学校への入学が決まっていた山本さんは高校を早期卒業し、お世話になったバレエ教室にも挨拶回りを始めていたのだそう。そんな矢先、留学先から“留学中止”の連絡が。「皆さんからあんなに盛大に送り出してもらったのに、急にドイツへ行くことが出来なくなってしまったんです。誰かに会うことが怖くて、外へ出られなくなりました」一時は祖父母の家に引きこもるまでに落ち込んでしまった山本さん。明るい髪が目立つように感じ、髪を染めることを辞めたのもこの頃で、いつも下を向いて歩いていたのだとか。
しかし、「このままでは駄目だ」と一念発起。なんとか営業会社に就職することができたそう。「毎朝社訓を大声で読み上げるような熱血的な社風に驚きましたが、バレエしか知らない世間知らずだったので『社会人としての心得』を教えてもらうことができました。例えば、『仕事は自ら創るべき。与えられるべきではない』という言葉はフリーランスを始めてからの具体的な指標になりました」入社2年後、希望が叶い社内の教育事業の部署へ異動。幼い頃から培った英語力を生かし、子供達に英語を教え始めたのだとか。そして、英語教育は現在もバレエレッスンの前後に行っている取り組みのひとつ。過去に高い英語力を求められアメリカ留学を断念した経験があり、子供達には同じ苦い思いをさせたくないのだと言います。「ピンチをチャンスに変える」とは、若くして波乱に富んだ人生を歩む山本さんの生き方そのもののようです。

  • 自分の足によく馴染んでいるというBLOCHのジャズシューズ。足のラインが綺麗に見える点がお気に入り。練習中も舞台も共にする大切なアイテム。
  • バレエのレッスン風景。レッスンでは技術だけでなく、挨拶や服をたたむ・靴を揃えるなどの人として大切な礼儀も教えているそう。

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『運』の使い方

「皆さん何かしら運を持っていると思うのですが、私はその運を“出会い”に使ってきたのだと思うんです。ある日バレエ仲間だったお姉さんと再会し、その方の教室で踊りの感覚を取り戻し始めました。そして、会社員として働く傍らバレエを教えるようになったんです」これが、フリーランスとして活躍するきっかけになったのだとか。現在では、レッスンの他に国民的アイドルグループ『嵐』を始めとした有名アーティストの振り付けやPV出演、バックダンサーなど多岐にわたる活動をこなしています。「新しいお仕事は殆ど“出会い”がきっかけです」そして、大きな転機となったもう一つの出会いは「NewStyleHustle」。2009年にアメリカNYで発祥したペアダンススタイルです。山本さんが始めた頃は日本では殆どレッスンを受けることができない状況だったのですが、活動を広めていくうちに先日の主催イベントの参加者は100名を越え、台湾から足を運ぶ人が出るほどの大きなイベントに。「一度挫折したバレエ一本では不安があったんです。現在の相方と出会い、自分にもう一つ軸が欲しい!と新しい世界に飛び込みました」クラシックなバレエを原点に、NewStyleHustleというストリートカルチャーを表現する他にはないスタイル。これが“自分らしさ”の一つだと言います。「イベントでは主催者でもある自分が優勝してしまいました。一番ダメなパターンですよね」
「出会いは運」だと表現する山本さん。しかし、私たちには彼女自身がチャンスを見出し、力強く道を拓いてきた情熱が結果として映っているように見えるのです。

  • ペアダンスであるNewStyleHustleには相方の存在が欠かせません。始めて以来6年間、相方を務めるZabuさんとの一枚。
  • 過去ジャッジとして参加したポーランドでのイベント『Create The Hustle』には2020年も参加を予定。また同年3月はCreate The Hustle Japan Editionを開催、4月には台湾Asia Editionにてワークショップも行います。

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身体と心を整える日課

1日に3本のレッスンや撮影など、多忙を極める山本さん。「フリーランスになったばかりの時は、将来への不安から仕事は何でも受けていました。とにかく忙しく動き回っていると、家の中が酷い有様で。生活も乱れて自信が無くなった時がありました」極度の冷え性になり、体温が34度台という日も。「ダンス仲間に医師がいたので、相談しました。食事についてアドバイスをもらい、毎日お味噌汁を飲むようにしました。それが自分に合っていたようで、寒気がしなくなったんです!」
“出会い”のエピソードが尽きない山本さんは、他にも必ず守っている日課があるそうです。「フリーランスは誰かに評価される訳でもないので、自己肯定力を失いやすいんです。生活が乱れてしまった時、自分に3つの約束をしました。どんなに忙しくても、朝起きたらベットメイキングをすること。毎朝食器を洗うこと。靴を揃えること。この3つだけは死守しようって。当たり前のことかもしれませんが、これを守っている自分を褒めてあげることにしているんです」トップダンサーとして活躍し続けるためには心と身体のメンテナンスが必須。試行錯誤の上で編み出した方法は意外とシンプルで、私たちも取り入れたいものばかりです。

  • 仕事道具でもある脚を冷やさないために欠かせないレッグウォーマー。その日の気分やファッションに合わせて色や柄をチョイスしているのだとか。レッスンが始まる前や舞台の待ち時間にも活躍。
  • 激しい動きに対応できるよう、毎日のマッサージやストレッチ、ゴルフボールを踏む、かかとをたたくなどメンテナンスには余念がないそう。

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美しい髪の秘訣

山本さんのチャームポイントはなんといっても黒く長い、美しい髪。その秘密は月に一度のサロントリートメントなのだとか。「フリーランスになると決めた時、月に一度は美容院に行けるようになるまでは頑張ろうと決めたんです。見られる仕事をする中でどこにお金をかけるかを考えた時、髪だけは絶対に綺麗でいたいという思いがありました」毎日髪を縛り上げている中、頭皮の負担感も気になるようで、サロンでのお手入れ時は頭皮マッサージも入念に。自宅ではヘアオイルでメンテンナンスをした後、ゴルフボールを踏んで足裏を刺激しながらドライヤーで髪を乾かしているのだとか。「毎日ストレッチやマッサージも必ずします」綺麗な髪を育むためには栄養や酸素を運ぶための血流が重要ですが、継続するのはなかなか難しいもの。山本さんの毎日の積み重ねが、髪だけではなく肌までの美しさを作っているようです。

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髪が細く柔らかな髪質の山本さん。いわゆる“猫っ毛”で毛先がまとまりにくいのがお悩み。生えたばかりの髪は脂肪酸などを含む整ったキューティクルに覆われ、滑らかな質感を保っています。しかしヘアカラーやパーマ、摩擦、熱ダメージなどによって損なわれてしてしまうため、毛先ほどぱさつきやすい髪に。

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