美しい 生き方の 「選択」

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Natsuko Shiraki

皆さんは、「エシカル」という言葉を聞いたことがありますか?「倫理的な」という意味を持ち、昨今『法的な縛りはないけれども、多くの人たちが正しいと思うことで、人間が本来持つ良心から発生した社会的な規範』といった意で使われています。エシカルジュエリーブランド『HASUNA』、そして代表である白木夏子さんとの出会いは、そのジュエリーの輝きが自分にとってより意味のあるものになることを教えてくれました。
働き方、住む場所、ヘアスタイル、ファッション、ジュエリー。自らの経験や様々な出会いを元に、力強く選択し続けてきた白木夏子さんに、「本当の美しさ」のヒントを教えて頂きました。
※一般社団法人エシカル協会HPより引用

Introduction

第11回はエシカルジュエリーブランド『HASUNA』の代表取締役社長で、社会起業家の白木夏子さん。10年ほど前の日本では「エシカル」という言葉の認知度が殆どない中、インドの農村部にある鉱山で働く方々を見て、その貧しい生活に衝撃を受け、社会、自然、そして素材に関わる人々に配慮したジュエリーブランドを自ら立ち上げました。
現在は、パートナーの多様な形を実現するブランド「REING(リング)」のアドバイザー(2020年12月現在)や女性起業家の支援事業、講演活動など、幅広くご活動されています。様々な社会貢献の形がある中で、『起業』の道を選んだ一人の女性のstoryに迫りました。

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staff

photograph: Amiri Kawabe

interview&text: Kaori Hakozaki

Section.01

自分の目で見た経験が決め手

幼少期の頃から石や貝殻に紐を通して人形にお洋服を作るなど、遊びの中で「ものづくり」を楽しんでいたという白木夏子さん。繊維の専門商社で働く父親とファッションデザイナーの母親の元で育ち、物心ついた頃から人形の洋服やアクセサリーを作っていたのだそう。「祖父は戦時中に色々な国へ行った時の話や、趣味である旅で経験した海外のことについて聞かせてくれました。そのうちに、将来は世界の国々を渡り歩くような仕事がしたい、と思うようになりました」海外留学のきっかけになったのも「日本で女性は差別されている。会社に入ってもお茶汲みくらいしかさせてもらえない。夏子は留学しなさい」という祖父の言葉だったのだとか。

留学準備のために短期大学へ進学することになった白木さんは、同期の殆どが就職の道を選ぶ中、英ロンドン大学への進学を決意したそうです。「社会派フォトジャーナリストの方の講演を聞く機会がありました。その話の中で、この地球で起こっている様々な負の課題があることを知り、大きな衝撃を受けたのです。このような課題を解決できる人になりたいという気持ちから、NGOやNPO、国連職員などの道へ繋がる大学選びをしました」

学生時代にはフィリピンへのスタディツアーやNGO、国連へのインターンシップなど、インターネットで調べるよりも“現地”を見ることの大切さを学んだそう。エシカルジュエリーブランド誕生のきっかけになったのは、インドのアウトカーストの人たちが住んでいる村に2ヶ月間滞在した経験から。「そこに住んでいる人々は鉱山で危険かつ過酷な労働をしていました。それにも関わらず、1日2ドル以下の貧しい生活。子供たちはもちろん学校へも行くことができません。同じようなことがインドネシアやカンボジアなど様々な国の採掘場で起きていて、鉱山で働いている子供は100万人にも上ることを知りました。美しいはずのジュエリーを作るために、貧しい人々に資本主義のしわ寄せが来ている。この問題を解決しなければと強く感じました」国連やNGOなど、世界の貧困課題を解決する選択肢は様々ある中、起業を選んだ理由について、「末端の人々を笑顔にするためには、ビジネスでアプローチする必要があると思った」と白木さんは言います。

HASUNAは、ジュエリーに使用される鉱石や金の採掘地域の調査までを行い、児童労働や水銀を使った精製が行われるなど鉱山で働く人々の労働環境にも配慮し、フェアトレードで仕入れられています。『HASUNAのジュエリーは、わたしの元に届くその瞬間までのストーリーを、すべて美しく語ることができる。関わるすべての人々が幸せで、環境を掻き乱すことのない、祝福されたジュエリーである。』HASUNAのコンセプトは、白木さんが目で見て感じた経験、そのものが強くはっきりと現れているようです。

※アウトカースト:カースト制度(ヴァルナ・ジャーティ制)の外側にあって、インドのヒンドゥー教社会における被差別民

  • 鉱物探しの旅の中で、最も印象に残ったというパキスタン フンザ渓谷の山頂にて。首都 イスラマバードから陸路でまる二日間かかって辿り着いたのだとか。
  • フェアマインド認証の金の原石。「フェアマインド認証ゴールド」とは南米のペルーやボリビア、コロンビア等の小力小規模鉱山で採掘された金。認証団体により人権と環境に配慮し、有害な化学物質の削減に努めていることが認められているのだそう。

Section.02

多様な価値観をジュエリーに

表参道にあるHASUNAの店舗を訪れる人の中にはエシカルブランドであるということを知らない人もいるのだそう。デザインの魅力に惹かれて来る人もいる中で、必ずしもHASUNAの思想を伝える必要はないのだと、白木さんは言います。「エシカルの思想を広めたい思いはあります。一方で、全てのお客様がそのことを目的に来る訳ではありません。ジュエリーはそのものにも魅力や価値があって、身に付けているだけで手先の仕草が綺麗になったり、背筋がピンと伸びたりなど、日常を非日常にする力があります。ジュエリーそのものを楽しんで頂くために、デザインやサービスを追求することも大切であると考えています。ビジネスとして大きくなって初めて、貧しい人たちにお金が流れるように出来るからです」

白木さんは現在、自身で立ち上げた多様な関係性を祝福するプロジェクト型ブランド『REING(リング)』のアドバイザーも務めています。ブランド誕生のきっかけは、HASUNAに結婚指輪を購入しにくるお客様の中に多様なパートナーの形を見る中でパートナーシップの在り方について考えることがあったからなのだそう。「結婚指輪のマーケティング広告を見ると、若い男女がデフォルトです。ところが年間に何百組と来店されるカップルの中には、トランスジェンダーの方や事実婚の方子連れ婚の方などがいる。パートナーや家族の形は様々なんです。HASUNAに関わる方々と話す中でこれを指輪で表現しよう!と思いついたことから、『REING』を始めました」REINGで扱っている指輪には、内側が多様性を象徴するレインボーカラーに装飾されているものや、ペットと付けるペアリングなど、様々なパートナーシップを表すものが数多くあります。『私たちが紡ぐ、全ての関係性は美しい』の理念の元、タイプ、サイズ、カラー全てにおいて、「男女」による区別が無いジェンダーニュートラルなアンダーウェアも取り扱っているとの事。

ジュエリーを付ける人の数だけ、それぞれに意味がある。ジュエリーから、パートナーの在り方の多様性を見ることができました。

  • HASUNA 表参道本店
    「指輪を選びに来るお客様が主役」という想いから、極力シンプルなデザインに。ガラス張りのフロントから入る陽の光を受けて、ジュエリーが美しく輝いています。
  • HASUNAのブライダルリングに使用されるダイヤモンドはロシア産のエシカルダイヤモンド。プラチナ、金は国内リサイクルメタルと、フェアマインド認証ゴールドをブレンドしたものです。「PERPETUAL(永続的な)」をコンセプトに、時代を超えて愛される《普遍的な美しさ》を追求したデザインなのだそう。

Section.03

変わらなくてはいけないもの

2015年9月、国連サミットにより『SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))』が採択されたことを皮切りに、日本でも段々と聞かれるようになってきた「エシカル」。白木さんがHASUNAを立ち上げた2009年は検索してもヒットしない程、殆ど知られていなかった思想でした。最近では日本でもファッションを中心に広まっては来たものの、ジュエリーブランドとしてはまだまだ少数なのだそう。「欧米のジュエリーブランドはエシカルな思想のものが増えてきています。それがあるべき姿だから変わってきていることもあるとは思いますが、現実的には経済合理性を考えてシフトしているのではないでしょうか」2030年には消費人口とも言える世界の労働人口の75%がミレニアル世代※1になると推測されており、現段階でもアメリカでは人口3分の1をミレニアル世代が占め、彼らはそのブランドがいかに社会貢献しているかを意識する傾向があるのだとか。「日本では少子高齢化の影響からマジョリティとは言えませんが、世界ではブランドが変わらなくてはいけない時代になってきていると思います」

変えるべき課題としてもう一つ挙げられるのは、起業家の女性比率。2020年(4月末)における女性社長の割合は8.0%※2と男性と比較して圧倒的に少数派です。「HASUNAを立ち上げた時は外部にアドバイザーがいましたが、ロールモデルとなるような人はほとんどいませんでした。起業は大体同じようなケースでつまずくことが多いんです」白木さんは現在、女性起業家を支援する『NAGOYA WOMEN STARTUP LAB.【女性スタートアップ研究会】』の講師や起業家の輩出を目指した武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の教員(2021年4月〜)も務め、自身の失敗や成功体験を元に起業家の活動を後押しする活動をしています。「起業経験を通して、女性としての生き方の選択肢を増やして欲しいと考えています」

世間の常識にとらわれず、社会の大きな流れを読んで変化し続けていく白木さんは、きっと「しなやかに強く生きる女性」のロールモデルになる事でしょう。

※1 ミレニアル世代:1981年以降に生まれ、2000年以降に成人を迎えた世代のこと
※2 帝国データバンク 全国「女性社長」分析調査(2020年)による

  • NAGOYA WOMEN STARTUP LAB.にて講演時の白木さん。女性起業家のロールモデルとして活躍されています。
  • パキスタン・フンザ渓谷の特に貧しい地域の女性たちにトレーニングを施している様子。パキスタンのNGOによって、教育を受ける機会がなかった女性の自立を支援しているのだそう。

Section.04

ライフスタイルの変化

家にいる時はジュエリーを付けないという白木さん。自分の中で、ジュエリーはオンオフのスイッチを入れ替えてくれる存在なのだとか。休日はお子さんと一緒に山や海へ行くなど、自然に触れる時間もオフを意識させてくれるそうです。「起業する前から10年以上都心に住んできましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国の小中学校が休校になったことをきっかけに、娘と一緒に愛知県の実家に身を寄せていたんです。自分自身が育った緑豊かな環境の中で、毎日森を散歩したり、ピクニックをしたりするうちに、それが日常になっていきました。緊急事態宣言が解除されて学校が再開されるとなった時、都心に戻る意味ってなんだろう?と疑問を持ちました。そこで、都心にもすぐに出られて、自然も文化も歴史もすぐ近くにある鎌倉に引っ越したんです。鎌倉の夜は車の音がせず、時間の流れも違います。都心に住んでいた時はつい夜ふかしをしてしまっていましたが、今では夜は早く寝て、朝は鳥の声で目が覚める生活。リラックスできる時間が増えました」

創業したばかりの時には目が回るような忙しさで、突然の発熱が1ヶ月続いたり、肩が上がらなくなったりしてしまうほど身体を酷使していたことも。今では持続的に仕事に関わっていくためにしっかり仕事の折り合いをつけ、三食を自炊するなど家族と過ごす時間を大切にしているそう。

変化する時代に合わせてしなやかに過ごすライフスタイルが、白木さんの力を引き出す秘訣なのかもしれません。

  • 鎌倉のお気に入りの散歩道。プライベートでは、家族と自然の中で一緒に過ごす時間を大切にしているのだそう。
  • バランスを意識して自炊したある日の食事。三食しっかり食べること、身体の声を聞くことを大切にしながら食事のメニューも考えているのだとか。

Section.05

芯のある美しさ

HASUNAに来るお客様は美しく輝いている人が多いのだと、白木さんは言います。それは、表面的なものではなく内側から溢れ出ているように感じるのだとか。HASUNAの思想に共感してセレクトする方は、仕事や暮らし、自分の在り方などの自分の人生に対してポリシーを持っている人が多いそう。「見た目だけでなく心の中から美しいと感じるのは、強さがあり、芯があるからなのではないでしょうか。ジュエリーはメンテナンスが必要で、大切にしていないと何十年も身につけることができません。自分を大切にしているからこそ、ジュエリーを大切にできるのだと思います」そんな白木さんは真っ直ぐで穏やかな眼差しの持ち主。ひと目みれば、強いポリシーを持っていることが伝わってきます。

「最近は、常に身体の声を聴いて自分を大切にすることを心掛けています。少し胃腸が弱っているなと感じたら、グリーンスムージーを作って飲んだり、お肉が食べたいと思ったら好きなお肉を沢山食べたり。夜は岩塩を入れた湯船に必ず浸かって、温まってから沢山寝るようにしています」

本当の美しさとは外見などではなく、自分の心の声に耳を傾け導き出した「ポリシーや信念」からにじみ出るものなのかもしれません。

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