温かな食事が 運んでくれる 健やかな美しさ

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Marie Wakana

「食」は、ただの栄養摂取だけでなく、 “食卓”という家族間のコミュニケーションや心の豊かさ・満足感をもたらしてくれるという、社会的役割も果たしています。ところが、必要不可欠な習慣である故に毎食の用意は負担が大きいもの。近年では外食やテイクアウトの店舗が充実しているものの、やはり家庭料理ならではの“やさしさ”は心を満たしてくれる魅力があります。
共働き世帯が増加しつつある現代、着目されているワードは“つくりおき”や“時短レシピ”。気付いているようで疎かにもされがちな「食」を身近に感じさせてくれる、若菜まりえさんの温かな視点を覗いてみましょう。

Introduction

第9回は時短料理研究家の若菜まりえさん。簡単作り置きおかずや時短・節約常備菜レシピなどを公開したブログサイト『つくりおき食堂BYまりえごはん』(https://mariegohan.com/)を運営しています。包丁を使わない、子供と一緒に作れるレシピやレンジだけで調理が出来るレシピ、長持ちする保存食レシピなどが大人気で、Twitterフォロワーは約43万人にも。主婦だけでなく、一人暮らしの若者からお身体が不自由なお年寄りまで、幅広い年代層の食生活に豊かさを与えてくれます。そんな人気の料理インフルエンサーとなった彼女のルーツは、まさに運命とも言えるものでした。徹底的なユーザー視点で人気を博する若菜さんの強い想いに迫ります。

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photograph: Amiri Kawabe

interview&text: Kaori Hakozaki

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幾度とない「食」との出会い

子供の頃から料理と食品に興味があったという若菜さん。お母様がよく料理をする方で、一緒に台所に立つのが好きだったのだと言います。「進学して一人暮らしを始める時に、母が手作りの料理レシピノートを持たせてくれました。当時はインターネットがまだ普及していなかったので、今でいうクックパッドみたいな便利なWebサイトは無く、レシピを手に入れるには料理本を買うのが一般的でした。私は母のノートを参考にしながら自炊をしていたのですが、回数を重ねていくうちにオリジナリティが出てきて、自分でレシピをノートに書き溜めるようになりました」このノートが、後の「まりえごはん」の原点なのだとか。

大学では食品生化学を専攻。大学4年生の時、掲示板に張り出されていた経産省主催の海外インターンシップに応募し、合格。フランスの食品香料会社で研修することになったのだそう。「インターンシップで食品関係の会社へ行けたのは幸運でした。一年間フランスに滞在し、食品香料について学びました」帰国後は日本の食品原料会社へ就職。幼い頃から現在まで、一貫して「食」と関わる人生は若菜さんだからこそです。

学生時代から作り始めたレシピノートは、何冊にも積み重ねられていきました。2016年の秋、「このレシピを発信する時が来たのかもしれない」と『つくりおき食堂』をスタートすることになったのだとか。

度重なる「食」との出会いは、まさに運命のようです。

  • 2006年より付け始めたというレシピノート。「つくりおき食堂」をはじめてからは、フォロワーからの声を取り入れ、より簡単に作りやすくなるように進化しているそう。
  • フランスでのインターンシップ時に使用していたノートやペン、社員証、バスカードなど。当時住んでいた街には鉄道が通っておらず、移動はバスのみ。休日は南フランスの様々な所に出かけていたのだそう。

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料理研究家としての使命

幼少期を始めとして、家庭で、学問として、就職先で、若菜さんは様々な角度から食を見つめてきたそうです。「食品業界では本当に沢山のことを学びました。例えば、スーパーにただ並んでいるように見える商品でも、その裏ではものすごい企業努力があるということ。お客様の目につく棚に商品を置くということがとても大変だということを知りました」若菜さんが料理家として食品を紹介する時は“企業が商品開発にかける想い”を常に考えるようにしているそう。「一次産業を支えることの大変さにも気づきました。農家や酪農家の方は、自然災害をはじめとしたさまざまな出来事をきっかけにして、大きな打撃を受けることがあります。特に酪農業について想いがあり、牛乳の廃棄防止に少しでもお役に立てればと思い『牛乳消費レシピ』を考案。すると、想いが繋がる瞬間があったんです」コロナウィルスの影響で、給食に使われるはずだった大量の牛乳が廃棄の危機にあった時。そのような状況を打開しようとTVで特集された牛乳大量消費企画で、若菜さんのレシピが紹介されたのだそう!「長年、日本の一次産業を応援されている番組でしたので、とても嬉しかったです。これからも微力ながら一次産業の活性化につながるレシピを提案していきたいです」若菜さんは他にも、大根や白菜、じゃがいもなど、季節に合わせた食材の“大量消費レシピ”を公開中。「各自ができる範囲で国産の食材を進んで買って欲しいと思っています。それが日本の一次産業の応援につながります」

国産の美味しい食材を選び、レシピにならって調理をし、美味しく食べること。読者の私達にも簡単に出来ることを「まりえごはん」は提供してくれます。気づかないうちに、日本の一次産業を応援させてくれていたようです。

  • 『ほうれん草と鮭のミルク煮』は、「一次産業を応援したい」という想いが通じた牛乳消費レシピの一つ。10分で作れるという手軽さに驚かされます。
    https://mariegohan.com/7534
  • 大根大量消費レシピ『豚バラ大根のうま塩ミルフィーユ鍋』は人気レシピの一つ。ブログでは調理工程まで写真で詳しく解説されているため、簡単なのに見栄えも美しく仕上がります。
    https://mariegohan.com/16775

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母として

今でこそ時短料理研究家として独立している若菜さんですが、駆け出しから最近までは会社員とのダブルワーク。特にブログ開設当初は二人目の子供の妊娠も重なり、多忙を極めていたそうです。「第二子が保育園で進級する時、心の中で涙を流すような出来事がありました。新しく入園してきたハイハイの赤ちゃんを見た時に、娘が赤ちゃん時代にハイハイしていた様子をはっきり思い出すことが出来ず、はっとしました」当時のことを反省していると、若菜さんは言います。

きっと、息つく間もない程忙しかったという当時の過ごし方も、必要な時間であったに違い有りません。一生懸命な発信活動に助けられたユーザーはどれだけいるのでしょうか。

この経験から、仕事と家庭とのバランスを見直すように。これからは、より濃厚で柔らかな時間を過ごすことができそうです。

  • 愛用しているというキッチングッズ。ゴムベラはお子さんがよく使っているアイテムで、耐熱性のものがおすすめなのだとか。
  • 牛乳、砂糖、粉ゼラチンの3つの材料だけで作れる牛乳プリン。レンジを使って加熱するため、火を使わずに5分ほどで作れてしまうのも魅力の一つです。
    https://mariegohan.com/17959

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「食」を楽しむということ

どのような状況でも料理家を続けられたのは食は「衣食住」の一つという、心の豊かさやQOL※の向上にかかわる大切な要素だからだと、若菜さんは言います。

その中でも“つくりおき食堂”のレシピは日常の負担を取り除くだけでなく、料理のスキルが高くない子供や食事量が減りがちな高齢者の精神的ハードルを下げてくれる側面があります。

「ある日、とても嬉しいお便りが届きました。お身体が不自由という方が、普段は子供や旦那さんにお料理を作ってあげられないことを寂しく思っていたそうです。ところが、『つくりおき食堂』の包丁を使わない、電子レンジだけで作れるレシピを見てお料理を作ることができ、嬉しかった。という内容でした」他にも、一人暮らしの方が、多忙から体調を崩しがちであったところ、若菜さんのレシピを見て手作り料理を食べて元気になった、といった声もあったのだそう。

「「食」は誰にでも必ずあるもの。少しでも、ユーザーさんが料理に対して感じるハードルを下げたい。そう思ってレシピを考えています。

さまざまな立場の方に料理を作っていただき、「食」を大切に感じていただけるように気軽に作れるレシピをこれからも提案していきたいです」

「食」の可能性に誰よりも気付いている若菜さんだからこそ、私達はいつも温かなレシピと出会うことができるのかもしれません。

(※クオリティ・オブ・ライフのこと)

  • 火や包丁、ミキサーなどを使わなくても本格的な料理が楽しめるというフランス発祥のじゃがいものポタージュレシピ『ビシソワーズ』
    https://mariegohan.com/18627
  • 忙しいお母さんでも簡単に作れる子供のおやつ『ミルクコーン蒸しパン』「食」を通じて温かなコミュニケーションが生まれそうなレシピです。
    https://mariegohan.com/16033

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毎日の積み重ねが美しさのカギ

年齢を重ねても、ツヤのある黒髪が自慢という若菜さん。インタビューでも光を受けて艶々と輝いていました。美髪のために欠かせないバランスの良い食事が、栄養素をたっぷりと与えてくれているようです。

「気をつけていることとしては、紫外線対策。外に出る時はできるだけ帽子をかぶるようにして、髪をダメージから守っています」

シャンプーやトリートメントなどのヘアケアアイテムは、香りで選ぶことが多いのだそう。いい香りのアイテムに出会うと、一日中わくわくした気分でいられるのだとか。インターンシップ時代に過ごしたという南フランスのグラース地方は、「香水の都」と呼ばれる世界有数の香水産業が盛んな街。食品香料の世界に身を置いていた若菜さんだからこそ、香りによる高揚感もひとしおです。

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製品は

嗅覚で感じる“香り”は、視覚による“色”と異なり記憶と直接紐づきがあるもの。意図せずとも香りだけでリラックスするのは、そのためです。

若菜さんは「南フランスの明るい太陽を浴びた柑橘の香り」がするという「ClassS An」がお気に入り。ClassSの香りは全て、フランス産原料のみを使用した天然香料。偶然にも、グラース地方の調香師が手掛けたスパイシーシトラスの香りです。

黒く、ツヤがある地髪に自信を持つ一方、年齢により髪のハリコシの低下が気になっているという若菜さん。「ClassS  An」は髪の内部までダメージを補修することで、しなやかなハリ・弾力感を導きます。